2025年6月24日火曜日

日銀による株式購入

開始時期

2010年12月、金融緩和政策の一環としてETFの買入れを開始

目的

  • リスクプレミアムの縮小(投資家のリスク回避姿勢を緩和)
  • 資産価格の安定(株価の下支え)
  • デフレ脱却の支援(経済の好循環を促す)

主な影響

1. 株価の下支え・上昇圧力

  • 株価が下落しそうな局面での買入れが、相場の安定要因

  • 市場では「日銀プット」と呼ばれ、安心感につながった

  • 東証株価指数(TOPIX)連動型ETFの比率が高かった

2. 日銀の株主化問題

  • 日銀が主要上場企業の大株主となる事態に

  • 2021年時点で、日経225構成銘柄の過半数で上位10位以内の株主になっていた

  • 「民間企業に対する国の影響力が大きくなりすぎる」との懸念も

3. マーケットのゆがみ

  • 需給主導で株価が動く場面が増え、企業業績と株価の乖離が発生

  • 市場参加者の行動が「日銀頼み」になる構造的リスクも

4. 出口戦略の難しさ

  • 買入れ残高は累計約50兆円超(2024年時点)

  • 将来的に売却するとなると、市場に対する影響が大きく、慎重な対応が必要

  • 日銀の財務リスク(含み損の拡大)も指摘されている


最近の動向

  • 2021年3月以降:買入対象をTOPIX連動型ETFに絞り、日経225型ETFの購入を終了

  • 2023年以降:実際の買入れ回数は減少傾向にあり、出口政策への布石とも見られる

  • 日銀保有ETFの再投資原則は継続中(償還に伴う再購入)


評価と課題

ポジティブな側面 ネガティブな側面
株価下支え、経済の安定化      市場のゆがみ・民間支配の懸念
リスクプレミアムの縮小 出口戦略が極めて難しい
投資家心理の改善 公的資金による価格形成の歪み

2025年6月19日木曜日

累進配当

 企業が将来的に安定的かつ段階的に配当金を引き上げていく方針を示す制度または考え方。主に米国企業で導入され、日本でも注目されつつある。

累進配当の概要

  • 定義:減配せず、配当を維持または増加させ続けることを目標とした配当政策

  • 目的:長期投資家に安定感と成長期待を与える

  • 企業姿勢:利益の短期的な増減に左右されず、中長期的な株主還元を重視する姿勢を示す

累進配当導入の背景

  • 株価下落リスクの抑制: 業績連動の配当方針では、減益時に減配リスクが高まるが、累進配当の採用により株価下落などのリスクを抑えることが期待される
  • 投資家繋ぎ止め: 新型コロナウイルス感染症後の利益の急回復が今後は減速するとの警戒感から、積極的な株主還元で投資家を繋ぎ留めようとする狙いがある
  • PBR(株価純資産倍率)改善: PBR改善の手段として累進配当を選ぶ企業が増えている

累進配当の特徴

項目 説明
減配の回避  一時的な業績悪化でも配当を維持する方針
増配の継続      利益が増えれば積極的に配当を増やす
長期志向の経営     安定した配当政策が株主との信頼関係を築く
投資家の支持  配当目的の長期保有投資家に人気
利益との乖離リスク無理に配当を維持しようとすると財務負担が増える恐れもある

累進配当と他の配当政策の比較

配当政策 内容 企業の姿勢
配当性向重視型  利益の◯%を配当にする 利益次第で配当額が変動
安定配当型 毎年◯円など一定額を維持   安定感重視
累進配当型 減配せず、段階的に増やす 長期的な株主還元を重視


投資家の視点からのメリット

  • 将来的なインカムゲインの成長が見込める

  • 株主重視の姿勢が明確な企業と判断できる

  • 株価が配当利回りに支えられ、下値が堅くなりやすい



2025年6月5日木曜日

バーゼル3

 

◆ バーゼル3の概要

  • 2008年のリーマン・ショックを教訓に策定された国際的銀行規制

  • 策定主体:バーゼル銀行監督委員会(BIS傘下)

  • 目的:金融システムの安定化と、銀行のリスク耐性強化

◆ 主な規制内容

  • 自己資本の強化

    • CET1比率(普通株式等Tier1資本比率)を4.5%以上に

    • 総自己資本比率は8%以上、さらにバッファ資本(保全・カウンターシクリカル)を加える

  • リスク管理の高度化

    • ストレステストや内部モデルの精緻化

    • 市場・信用・オペレーショナルリスクの統合的評価

  • 新たな規制項目

    • レバレッジ比率の導入(自己資本 ÷ 総資産 ≧ 3%)

    • 流動性比率の導入

      • LCR:30日間の資金流出に耐えるための高品質資産保持

      • NSFR:1年超の安定資金調達の確保


◆ 各国の導入状況(2024〜2027)

  • 日本:2024年〜2025年にかけて全預金取扱機関に適用完了

  • アメリカ:2025年7月予定 → 銀行界の反発で見直し中

  • EU:2025年1月から導入決定、市場リスクは2026年に延期

  • イギリス:2027年1月に延期、米国の動向を注視


◆ 邦銀への影響

  • メガバンクはすでに高度な自己資本管理を実施

  • 地銀や信金は標準手法ベースでの対応、影響は限定的

  • 日本の先行導入により、規制順守の信頼性向上とともに、国際競争条件の不均衡懸念も指摘される

サマーラリー

サマーラリーとは? 米国株式市場で見られる季節的な傾向 の一つ 7月4日(独立記念日)から9月初旬(レイバーデー)まで の期間に、株価が上昇しやすいという アノマリー(経験則) 明確な経済的根拠は乏しいが、「 休暇前に株を買う 」「市場参加者の構成が変わる」など、投資家の心理や...