開始時期
2010年12月、金融緩和政策の一環としてETFの買入れを開始
目的
- リスクプレミアムの縮小(投資家のリスク回避姿勢を緩和)
- 資産価格の安定(株価の下支え)
- デフレ脱却の支援(経済の好循環を促す)
主な影響
1. 株価の下支え・上昇圧力
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株価が下落しそうな局面での買入れが、相場の安定要因に
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市場では「日銀プット」と呼ばれ、安心感につながった
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東証株価指数(TOPIX)連動型ETFの比率が高かった
2. 日銀の株主化問題
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日銀が主要上場企業の大株主となる事態に
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2021年時点で、日経225構成銘柄の過半数で上位10位以内の株主になっていた
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「民間企業に対する国の影響力が大きくなりすぎる」との懸念も
3. マーケットのゆがみ
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需給主導で株価が動く場面が増え、企業業績と株価の乖離が発生
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市場参加者の行動が「日銀頼み」になる構造的リスクも
4. 出口戦略の難しさ
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買入れ残高は累計約50兆円超(2024年時点)
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将来的に売却するとなると、市場に対する影響が大きく、慎重な対応が必要
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日銀の財務リスク(含み損の拡大)も指摘されている
最近の動向
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2021年3月以降:買入対象をTOPIX連動型ETFに絞り、日経225型ETFの購入を終了
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2023年以降:実際の買入れ回数は減少傾向にあり、出口政策への布石とも見られる
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日銀保有ETFの再投資原則は継続中(償還に伴う再購入)
評価と課題
ポジティブな側面 | ネガティブな側面 |
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株価下支え、経済の安定化 | 市場のゆがみ・民間支配の懸念 |
リスクプレミアムの縮小 | 出口戦略が極めて難しい |
投資家心理の改善 | 公的資金による価格形成の歪み |