インフレ期待とは、将来どの程度の物価上昇が起こると人々が予想しているかを示す概念
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消費者、企業、投資家、市場参加者が共有する「将来の物価観」を表す
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実際のインフレ率だけでなく、期待の形成が経済行動に大きな影響を与える
インフレ期待の基本的な考え方
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人は「これから物価が上がる」と思えば行動を変える
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その行動の変化が、結果として実際の物価上昇を引き起こす場合がある
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インフレ期待は、インフレの原因であると同時に結果でもある
インフレ期待と消費行動
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インフレ期待が高い場合
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将来値上がりする前に購入しようとする
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消費が前倒しされやすい
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インフレ期待が低い場合
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値下がりや横ばいを想定し、購入を先送りしやすい
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消費が停滞しやすい
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インフレ期待と企業行動
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インフレ期待が高まる
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企業は価格転嫁を行いやすくなる
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賃上げや設備投資を計画に織り込みやすくなる
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インフレ期待が低い
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価格引き上げに慎重になる
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賃上げや投資に踏み切りにくい
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インフレ期待と賃金
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持続的なインフレには賃金上昇が不可欠
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インフレ期待が定着すると
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労働者は賃上げを求めやすくなる
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企業も将来収益を見込んで賃上げに応じやすくなる
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インフレ期待が弱いと
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賃上げが一時的・限定的になりやすい
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インフレ期待と金融政策
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中央銀行は「実際の物価」だけでなく「インフレ期待」を重視する
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インフレ期待が目標水準より低い
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金融緩和を続ける理由となる
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インフレ期待が過度に高まる
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金融引き締めを検討する要因となる
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インフレ期待と実質金利
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実質金利 = 名目金利 − インフレ期待
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インフレ期待が上昇
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実質金利は低下しやすい
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金融環境は緩和的になりやすい
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インフレ期待が低下
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実質金利は上昇しやすい
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インフレ期待の測り方
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直接観測できる指標ではない
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主な把握方法
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消費者アンケート
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企業景況感調査
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市場データ(物価連動国債と通常国債の利回り差など)
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インフレ期待が重要とされる理由
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デフレ脱却の鍵となる要素
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金融政策の効果を左右する
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消費・投資・賃金・価格形成を同時に動かす力を持つ
日本経済との関係
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長期デフレにより、インフレ期待が定着しにくい構造だった
「価格は上がらない」という社会通念が根強かった
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近年は物価上昇を背景に、インフレ期待の変化が注目されている
押さえておくポイント
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インフレ期待は「心理」だが、経済への影響は極めて現実的
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実際の物価以上に、将来の見通しが行動を決める
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実質金利・中立金利・金融政策を理解するための基礎概念