経済ニュースでは、「株価が上昇した」「日経平均株価が下落した」「買い注文が集まった」といった表現が頻繁に使われます。個別の言葉は聞いたことがあっても、それぞれがどのようにつながっているのか分からない方もいらっしゃるかもしれません。
株式市場は、企業が事業に必要な資金を集める場所であると同時に、投資家が株式を売買する場所でもあります。株価の動きには、企業の業績、金利、景気、為替、投資家の予想など、さまざまな要素が関係しています。
この記事では、株式市場のニュースや企業情報を読むときに押さえておきたい基本用語をまとめます。
株式とは
株式とは、株式会社が事業に必要な資金を集めるために発行する証券です。株式を購入した人は株主となり、その企業の所有者の一人になります。
株主は、保有する株式数に応じて、配当金を受け取ったり、株主総会で議決権を行使したりできます。企業が成長して株価が上昇すれば、株式を売却して利益を得ることも可能です。
一方で、企業の業績が悪化すると、株価が下落したり、配当金が減額されたりすることもあります。株式は、将来の利益を期待できる金融商品であると同時に、元本が保証されていない金融商品です。
株式市場
株式市場とは、株式を発行したり、投資家同士が株式を売買したりする市場です。
株式市場は、役割によって発行市場と流通市場に分けられます。
| 市場 | 役割 |
|---|---|
| 発行市場 | 企業が新たに株式を発行し、投資家から資金を集める市場 |
| 流通市場 | すでに発行された株式を投資家同士で売買する市場 |
証券取引所で日常的に行われている株式の売買は、主に流通市場での取引です。投資家が株式を購入しても、その代金が毎回企業へ直接支払われるわけではありません。多くの取引では、株式を売る投資家と買う投資家の間で代金が受け渡されます。
証券取引所
証券取引所とは、株式などの金融商品を公正かつ円滑に売買するための市場を運営する機関です。
証券取引所では、株式の売買注文を集め、価格や時間に基づくルールに従って取引を成立させます。企業が取引所で株式を公開するには、財務状況や情報開示体制などについて一定の基準を満たす必要があります。
投資家は証券取引所へ直接注文を出すのではなく、通常は証券会社を通じて株式を売買します。
上場
上場とは、企業の株式が証券取引所で売買できるようになることです。上場している企業を上場企業、その株式を上場株式と呼びます。
企業は上場によって多くの投資家から資金を集められるようになり、社会的な知名度や信用力の向上も期待できます。その一方で、決算内容や経営上の重要事項を継続的に開示する責任を負います。
すべての株式会社が上場しているわけではありません。証券取引所で株式を公開していない企業は、非上場企業と呼ばれます。
IPO
IPOは「Initial Public Offering」の略で、日本語では新規株式公開と呼ばれます。非上場企業が株式を証券取引所へ上場し、一般の投資家が売買できる状態にすることです。
IPOでは、企業が新しく株式を発行する公募や、既存の株主が保有株式を売却する売出しが行われます。投資家は証券会社を通じて購入を申し込み、申し込みが多い場合には抽選などによって購入者が決まります。
株価
株価とは、株式市場で売買される一株当たりの価格です。株式を買いたい投資家と売りたい投資家の注文が一致すると、取引が成立して株価が決まります。
株価は、現在の企業業績だけで決まるものではありません。将来の利益への期待、景気の見通し、金利、為替、商品価格、国内外の政治情勢なども反映されます。
好決算を発表した企業でも、市場の予想を下回れば株価が下落することがあります。反対に、現在の業績が振るわなくても、将来の回復が期待されれば株価が上昇することもあります。
始値・高値・安値・終値
一日の株価の動きを表すときには、始値、高値、安値、終値という4つの価格が使われます。これらをまとめて四本値と呼ぶこともあります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 始値 | その日の最初に成立した取引価格 |
| 高値 | その日の取引で最も高かった価格 |
| 安値 | その日の取引で最も安かった価格 |
| 終値 | その日の最後に成立した取引価格 |
終値は、その日の相場を代表する価格として、前日との比較や株価チャートの作成に広く使われています。
前日比
前日比とは、現在または当日の終値と、前営業日の終値との差です。
前日の終値が1,000円で、当日の終値が1,050円であれば、前日比はプラス50円です。割合で表す場合は、前日の終値に対して何%上昇または下落したかを計算します。
株価水準が異なる企業を比べるときは、金額の差だけでなく、騰落率も確認すると値動きの大きさを把握できます。
出来高
出来高とは、一定期間内に売買が成立した株式数です。一日の出来高が100万株であれば、その日に合計100万株の取引が成立したことを表します。
出来高が増えているときは、その株式に対する市場参加者の関心が高まっていると考えられます。株価が大きく動くと同時に出来高も増えている場合は、多くの投資家が売買に参加していることが分かります。
売買代金
売買代金とは、成立した株式取引の金額を合計したものです。基本的には、株価に出来高を掛けて計算します。
同じ100万株の取引でも、株価が500円の銘柄と5,000円の銘柄では売買代金が異なります。市場全体の活発さや、どの企業に資金が集まっているのかを確認するときに使われる指標です。
時価総額
時価総額とは、企業の株式を現在の株価で評価した総額です。株価に発行済株式数を掛けて計算します。
たとえば、株価が2,000円で発行済株式数が1億株なら、時価総額は2,000億円です。
株価だけでは、企業全体が市場でどの程度の価値を付けられているのかは分かりません。株価が高い企業でも発行済株式数が少なければ、時価総額は小さくなることがあります。
株価指数
株価指数とは、複数の企業の株価を一定の方法で計算し、株式市場全体や特定の業種の動きを表した指標です。
日本の株式市場を表す代表的な指数には、日経平均株価やTOPIXがあります。米国では、ダウ工業株30種平均、S&P500、NASDAQ総合指数などが広く知られています。
それぞれの指数は、採用される企業や計算方法が異なります。そのため、同じ日に一つの指数が上昇し、別の指数が下落することもあります。
日経平均株価
日経平均株価は、日本を代表する企業のうち、選定された225銘柄の株価をもとに算出される株価指数です。日経225とも呼ばれます。
株価の高い銘柄の動きが指数に与える影響が大きいという特徴があります。そのため、一部の値がさ株が大きく動くと、市場全体の銘柄が同じ方向に動いていなくても、指数が大幅に上昇または下落することがあります。
TOPIX
TOPIXは、東京株式市場の幅広い銘柄を対象に算出される株価指数です。時価総額の大きい企業ほど、指数に与える影響も大きくなります。
日経平均株価が225銘柄の株価を中心に計算されるのに対し、TOPIXはより広い範囲の銘柄を反映します。日本株全体の動きを確認するときは、両方の指数を比べると市場の状況を捉えられます。
銘柄
銘柄とは、株式市場で取引される企業や金融商品を区別するための呼び方です。「自動車関連銘柄」「銀行株」「高配当銘柄」のように、業種や特徴によって分類されることもあります。
上場企業には、それぞれを識別するための証券コードが付けられています。投資情報サイトや証券会社の取引画面では、企業名や証券コードを使って銘柄を検索します。
板
板とは、株式を買いたい投資家と売りたい投資家の注文状況を価格ごとに並べた情報です。
板を見ると、どの価格にどれだけの買い注文や売り注文が出ているのかが分かります。買い注文の価格を買い気配、売り注文の価格を売り気配と呼びます。
買い注文と売り注文の価格が一致すると、その価格で取引が成立します。注文数量が多い価格帯では、売買の成立に時間がかかったり、株価の動きに影響したりすることもあります。
成行注文
成行注文とは、価格を指定せず、売買の成立を優先して出す注文です。
買いの成行注文では、その時点で出ている最も低い売り注文から順に取引が成立します。売りの成行注文では、最も高い買い注文から順に取引されます。
取引が成立する可能性は高いものの、注文が少ない銘柄や株価が大きく動いている状況では、想定していた価格と離れた金額で約定することがあります。
指値注文
指値注文とは、売買する価格を指定して出す注文です。
買い注文では「指定した価格以下」、売り注文では「指定した価格以上」になったときに取引が成立します。たとえば、株価1,000円以下で買いたい場合は、1,000円の買い指値注文を出します。
希望する価格を指定できる一方、その価格まで株価が動かなければ取引は成立しません。
約定
約定とは、出した売買注文が成立することです。注文を出した時点では、まだ株式を購入または売却したことにはなりません。
成行注文や指値注文が市場で成立すると、約定価格と約定株数が確定します。注文の一部だけが成立し、残りの株数が未約定になることもあります。
単元株
単元株とは、証券取引所で株式を売買するときの基本的な株数です。多くの日本企業では、100株を1単元として取引します。
株価が1,000円で1単元が100株なら、通常の取引に必要な金額は約10万円です。証券会社によっては、1株単位などで購入できる単元未満株のサービスも提供されています。
配当金
配当金とは、企業が得た利益の一部を株主へ分配するお金です。一株当たりの配当額は、企業の業績や配当方針によって決まります。
利益が増えても、設備投資や事業拡大のために資金を残し、配当を抑える企業もあります。反対に、安定した利益をもとに継続的な配当を重視する企業もあります。
配当金は必ず支払われるものではなく、業績や経営方針によって増額、減額、無配となることがあります。
配当利回り
配当利回りとは、株価に対して年間の配当金がどの程度になるかを表す指標です。
一株当たりの年間配当金を株価で割り、100を掛けて計算します。株価が2,000円で年間配当金が60円なら、配当利回りは3%です。
配当金が同じでも、株価が下落すると配当利回りは上昇します。利回りが高いという理由だけで判断せず、企業が配当を継続できる利益や財務状況も確認する必要があります。
値上がり益と値下がり損
購入したときより高い株価で売却して得られる利益を、値上がり益または売却益と呼びます。英語ではキャピタルゲインと表現します。
反対に、購入価格を下回る株価で売却して生じた損失は、値下がり損または売却損です。英語ではキャピタルロスと呼びます。
株式投資から得られる利益には、配当金などのインカムゲインと、売却によるキャピタルゲインがあります。
PER
PERは「Price Earnings Ratio」の略で、日本語では株価収益率と呼ばれます。株価が一株当たり利益の何倍まで買われているかを表す指標です。
株価をEPSで割って計算します。株価が2,000円、EPSが200円なら、PERは10倍です。
PERが高い企業は、将来の利益成長に対する期待が株価へ反映されていることがあります。PERが低い場合は割安と評価されることもありますが、業績悪化への懸念から株価が低くなっている可能性もあります。
EPS
EPSは「Earnings Per Share」の略で、一株当たり利益を意味します。企業の当期純利益を発行済株式数で割って計算します。
EPSが増えている場合、一株当たりで見た企業の利益が成長していることを表します。PERを計算するときの基礎となるほか、企業の収益力を確認するときにも使われます。
PBR
PBRは「Price Book-value Ratio」の略で、日本語では株価純資産倍率と呼ばれます。株価が一株当たり純資産の何倍まで買われているかを表します。
株価をBPSで割って計算します。株価が1,500円、BPSが1,000円なら、PBRは1.5倍です。
PBRが1倍の場合、株価と一株当たり純資産が同じ水準にあることを意味します。PBRは業種や企業の収益力によって水準が異なるため、同業他社や過去の推移と合わせて判断します。
BPS
BPSは「Book-value Per Share」の略で、一株当たり純資産を意味します。企業の純資産を発行済株式数で割って計算します。
純資産は、企業が保有する資産から負債を差し引いた金額です。BPSは、企業に一株当たりどの程度の純資産があるのかを表し、PBRを計算するときにも使われます。
ROE
ROEは「Return on Equity」の略で、日本語では自己資本利益率と呼ばれます。株主が出資した資本を使って、企業がどの程度の利益を上げたかを表す指標です。
当期純利益を自己資本で割って計算します。ROEが高い企業は、株主から預かった資金を効率よく利益につなげていると評価されることがあります。
借入金を増やすと自己資本が相対的に小さくなり、ROEが上昇することもあります。数値を確認するときは、負債の状況や利益の安定性も合わせて捉える必要があります。
高値圏と安値圏
高値圏とは、一定期間の株価推移の中で、比較的高い水準にある状態です。安値圏は、比較的低い水準にある状態を指します。
高値圏や安値圏に明確な基準はありません。過去数か月や数年の株価、企業業績、株価指標など、どの期間や基準と比べるかによって評価は変わります。
上昇相場と下落相場
株価が継続的に上昇している市場を上昇相場と呼びます。英語ではブルマーケットと表現され、強気相場と訳されることもあります。
株価が継続的に下落している市場は下落相場です。英語ではベアマーケットと呼ばれ、弱気相場とも表現されます。
一時的に株価が上昇または下落しただけでは、相場全体の流れが変わったとは判断できません。景気や企業業績、金融政策などを含めて市場の方向を捉えます。
ボラティリティ
ボラティリティとは、株価の変動の大きさを表す言葉です。株価が短期間に大きく上下している状態は、ボラティリティが高いと表現します。
株価の動きが比較的小さい状態は、ボラティリティが低い状態です。ボラティリティが高い株式は、大きな利益を得られる可能性がある一方、損失も大きくなる可能性があります。
流動性
流動性とは、株式を売買したいときに、希望する価格に近い水準で取引できる度合いです。
出来高や売買代金が多く、多数の買い注文と売り注文が出ている銘柄は、流動性が高いといわれます。反対に、注文が少ない銘柄では、希望した価格で売買が成立せず、注文によって株価が大きく動くことがあります。
信用取引
信用取引とは、証券会社から資金や株式を借りて行う取引です。預けた保証金をもとに、保証金を上回る金額の株式を売買できます。
資金を借りて株式を購入する取引を信用買い、株式を借りて売却する取引を信用売りと呼びます。
信用取引では、手元の資金を上回る取引ができるため、利益が拡大する可能性があります。その一方で、株価が予想と反対方向へ動けば、損失も大きくなります。
空売り
空売りとは、保有していない株式を借りて売却し、後から買い戻して返却する取引です。株価の下落による利益を狙うときに使われます。
たとえば、1,000円で空売りした株式を800円で買い戻せば、価格差の200円が利益になります。反対に、株価が1,200円へ上昇してから買い戻すと、200円の損失が生じます。
通常の株式購入では株価がゼロになったときが最大損失となりますが、空売りでは株価上昇に上限がないため、損失が拡大する可能性があります。
株式分割
株式分割とは、一株を複数の株式に分けることです。1株を2株に分割した場合、保有株数は2倍になり、理論上の一株当たり株価は半分になります。
株式分割を行っても、企業全体の価値や株主が保有する株式の合計価値が直ちに増えるわけではありません。一株当たりの価格が下がることで、投資に必要な金額が小さくなり、売買に参加する投資家が増える効果が期待されます。
増資
増資とは、企業が新たに株式を発行して資金を集めることです。集めた資金は、設備投資、企業買収、研究開発、借入金の返済などに使われます。
新しい株式が発行されると、発行済株式数が増えます。企業の利益が同じままであれば、一株当たり利益が小さくなるため、既存株主の持分価値が薄まることがあります。これを株式の希薄化と呼びます。
自社株買い
自社株買いとは、企業が市場から自社の株式を買い戻すことです。
買い戻した株式を消却すると、発行済株式数が減り、一株当たり利益などの指標が上昇します。企業が株価を割安と判断していることや、株主還元を重視していることを示す場合もあります。
一方で、自社株買いに使った資金は、設備投資や研究開発には使えません。企業の成長戦略や財務状況と合わせて評価する必要があります。
材料
材料とは、投資家が株式を売買する判断に影響を与える情報です。
企業の決算、新商品、業務提携、増配、自社株買い、法改正、経済指標などが材料になります。株価の上昇につながると考えられる情報を好材料、下落につながる情報を悪材料と呼びます。
好材料が発表されても、事前に市場で予想されていた場合は、株価が上昇しないことがあります。発表内容と市場予想の差が、株価の反応を左右します。
織り込み済み
織り込み済みとは、将来起こると予想されている出来事が、すでに現在の株価へ反映されている状態です。
好決算が予想されて株価が先に上昇していた場合、実際に好決算が発表されても、株価がさらに上がるとは限りません。発表後に利益確定の売りが増え、株価が下落することもあります。
株式市場では、現在の事実に加えて、将来への予想が株価を動かしています。
株式市場を見るときのポイント
株価の動きを理解するには、個別企業の情報と市場全体の環境を組み合わせて考える必要があります。
- 企業の売上高、利益、今後の業績予想
- PER、PBR、ROEなどの株価・財務指標
- 配当や自社株買いなどの株主還元
- 国内外の景気や金利の動向
- 為替レートや資源価格の変化
- 市場予想と実際の発表内容との差
株価が上昇したという結果だけを追うのではなく、企業の利益が増えたのか、将来の期待が高まったのか、市場全体に資金が流入したのかを確認すると、値動きの背景を読み取れます。
まとめ
株式市場は、企業が資金を集め、投資家が株式を売買する場所です。株価は買い注文と売り注文によって決まり、企業業績、金利、景気、為替、市場参加者の予想などを反映して変動します。
出来高や売買代金は取引の活発さを表し、時価総額は企業全体に対する市場の評価を示します。PERやPBR、ROEなどの指標は、株価と企業の利益や資産を結び付けて考えるために使われます。
株価指数や個別銘柄の値動きを見るときは、数字の上昇や下落だけで判断せず、その背景にある企業情報や経済環境まで確認することが重要です。基本用語の意味が分かると、株式市場のニュースを企業活動や経済全体の流れと結び付けて読めるようになります。