CAPEレシオの概要
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CAPEレシオ(Cyclically Adjusted Price Earnings Ratio) は、日本語で「景気循環調整後PER」と呼ばれる株価指標。
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株価を直近1年の利益だけで判断するのではなく、過去10年間の実質利益の平均を用いて株価水準を評価する。
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株式市場が割安か割高かを判断する際に、長期的な視点から活用される。
CAPEレシオの計算方法
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過去10年間の企業の1株当たり利益(EPS)を実質ベース(インフレ調整後)で算出。
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その10年平均値を求める。
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現在の株価を、この10年平均EPSで割る。
👉 通常のPER(株価収益率)が「現在の利益」を基準にしているのに対し、CAPEレシオは「長期平均の利益」を使う点が大きな違い。
CAPEレシオの特徴
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景気循環の影響を平準化:景気の好不況による一時的な利益変動をならして、株価水準を評価できる。
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バリュエーション判断:数値が高ければ株価が割高、低ければ割安とされる。
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長期投資向きの指標:短期的な売買シグナルではなく、長期的な株式市場の水準を見極めるために使われる。
歴史的な活用事例
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この指標を有名にしたのは、米エール大学のロバート・シラー教授。
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特に米国株式市場のバブルや割安局面を判断する際に用いられ、「シラーPER」とも呼ばれる。
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2000年のITバブル時にはCAPEレシオが歴史的高水準となり、その後の株価下落を示唆していた例が知られている。
投資家にとっての意味
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長期的なリスク管理:割高圏ではリスクが高まるため、投資比率を調整する材料になる。
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国際比較にも利用:米国、日本、欧州など主要市場のCAPEレシオを比較することで、相対的な割安・割高を判断できる。
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万能ではない:直近の利益動向や金融政策の影響は十分に反映できないため、他の指標と組み合わせて判断することが重要。
まとめ
CAPEレシオは、株価が「長期的に見て割高か割安か」を判断するための指標で、短期的な売買というよりは中長期の投資判断に役立つ。景気循環による一時的な利益の増減を平準化しているため、株式市場全体の評価に適しており、世界の投資家に広く利用されている。
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