2025年9月6日土曜日

為替デリバティブと円高の関係

為替デリバティブの役割

  • 企業(特に輸出入企業)は、将来の為替変動リスクを避けるために、先物やオプションでレートをあらかじめ固定する。

  • これを「為替ヘッジ」と呼ぶ。

例:トヨタが将来ドルで売上を受け取るとき、ドル円レートを事前に契約しておけば、円高になっても利益が減らない。


円高圧力がかかるとき

  • 通常、輸出企業は「ドル売り・円買い」をするので、輸出が好調だと円高要因になる。

  • しかし、為替デリバティブ(ヘッジ取引)を使うと、このフローが事前に処理されてしまう。

つまり、本来なら実需として出てくるドル売り・円買い圧力が、事前に市場に吸収される


為替デリバティブが「円高が進みにくい理由」となる仕組み

  • 企業がリスクヘッジのために先物やスワップを活用
     → 為替の需給が分散され、一方向に偏った円高の進行が抑えられる

  • 実需の「円買い」が出にくくなり、円高が加速しにくい。

  • また、投資家もデリバティブでヘッジできるため、円高局面で「慌てて円を買う」動きが減少する。


まとめ

  • 本来なら輸出の増加=ドル売り円買い=円高要因

  • しかし為替デリバティブ(先物・オプション・スワップ)の普及で、

    • 実需の円買いが事前処理される

    • 投資家もヘッジできる

  • その結果、円高が一気に進みにくい市場構造になっている。

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