2025年9月21日日曜日

プラザ合意とその影響

プラザ合意の概要

  • 1985年9月22日、ニューヨークのプラザホテルで開催されたG5(米国、日本、西ドイツ、フランス、英国)会合で成立。
  • 目的:過度なドル高を是正し、米国の貿易赤字縮小を図るため、協調介入を行うことで合意。


合意の背景

  • 米国の巨額貿易赤字ドル高によって輸出が不振に。
  • 保護主義圧力の高まり米国内で関税強化や規制強化の声が強まっていた。
  • 日本の台頭輸出競争力が急伸し、米国との貿易不均衡が顕著化。


合意の内容

  • 協調介入:各国がドル売り・自国通貨買いを実施し、ドル安・円高を誘導。
  • 政策協調
    • 米国は財政赤字削減
    • 日本・西ドイツは内需拡大
    • 他の主要国も政策調整を行うことで合意。

合意後の影響

  • 急激な円高:1ドル=240円台 → 半年後180円台、1986年には150円台。
  • 円高不況と金融緩和:急速な円高で輸出企業が打撃 → 日本銀行が大幅金融緩和。
  • バブル経済:低金利と公共投資により株価・地価が急騰、後のバブル崩壊へ。
  • 産業構造の変化:企業が海外移転を加速 → 国内産業の空洞化。


その後の展開

  • ルーブル合意(1987年):過度なドル安を防ぐための協調合意。しかし各国の足並みが乱れ、同年「ブラックマンデー」へ。
  • 「第2のプラザ合意」論:その後もドル高是正の必要性が議論されるが、新興国台頭・市場規模の拡大で再現は困難。


その他の影響と教訓

  • 貿易不均衡是正:一時的に日本の対米黒字縮小に寄与。
  • 政策協調の限界:国際協調は維持困難で、副作用(円高不況・バブル膨張)を招いた。
  • 現代への示唆
    • 市場介入は副作用が大きい
    • 金融緩和は長期的な資産バブルリスクを伴う
    • 国際協調は必要だが合意の持続は難しい。

✅ 補足点:

  • プラザ合意後の日本の金融緩和が「失われた30年」につながる構造的要因のひとつとされる。
  • 米国はドル安を通じて一時的に赤字縮小したが、根本的な構造改革にはつながらなかった。
  • G7(主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議)への発展の一里塚とも言える。

0 件のコメント:

コメントを投稿

日銀のETF購入と売却

  📉 購入開始と目的(2010年〜) 開始時期 :2010年、金融緩和策の一環としてETF・REITの買い入れを開始。 目的 :株式市場を通じて 資産効果を高め、デフレ脱却を促す ため。 政策の特徴 :中央銀行がリスク資産(株式市場関連商品)を買うという 異...