YCC(イールドカーブ・コントロール)の概要
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中央銀行が短期金利と長期金利の両方を目標水準に誘導する政策。
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日本銀行(日銀)が2016年9月の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」で導入。
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短期金利をマイナス0.1%、長期金利(10年国債利回り)をゼロ%程度に維持する方針。
導入の背景と目的
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従来の大規模金融緩和(量的・質的緩和)で長期金利が過度に低下し、
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金融機関の利ざや縮小
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年金・保険の運用難 といった副作用が顕在化。
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短期金利だけでなく長期金利も一定水準に誘導し、緩和効果と金融機関収益の両立を図るために導入。
具体的な手法
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長期金利誘導目標の設定:10年国債利回りを「ゼロ%程度」に維持。
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国債買入れ(公開市場操作)で金利調整。
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指値オペ:長期金利が上昇傾向の際、日銀が利回りを指定して無制限に国債を買い入れ、金利上昇を抑制。
修正の経緯(変動許容幅の拡大)
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2022年12月:±0.25% → ±0.5%に拡大。
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2023年7月:0.5%を「めど」とし、1.0%まで容認。
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2023年10月:実質的に上限1.0%を容認する運営に移行。
撤廃とその後
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2024年3月:マイナス金利解除と同時にYCCを撤廃。
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撤廃後も一定規模の国債買い入れは継続する方針。
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金利は市場の需給で変動する仕組みに回帰。
副作用と評価
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国債市場の流動性低下、価格発見機能の低下。
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金利の歪みが海外投資家による投機的取引(ヘッジファンドの売り仕掛け)を誘発。
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一方で、低金利環境を長期維持し景気下支えに寄与した面もある。
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