2025年10月17日金曜日

円キャリー取引とは


  • 定義:低金利の円を借りて売り、高金利の外貨に換えて運用し、金利差(キャリー)で利益を得る取引。

  • 狙い:為替差益ではなく、主に金利差益を目的とする。

  • 効果:取引が活発になると円売り・外貨買いが進み、円安圧力が強まる。


⚙️ 仕組み

  1. 日本で低金利の円を調達(借り入れ)

  2. 円を売って、ドルや豪ドルなど金利の高い通貨を購入

  3. その通貨建ての債券や預金などで運用して金利差を得る

  4. 為替相場が安定していれば、金利差分が利益として確保できる


📉 背景と発生要因

  • 日米金利差の拡大:日本が超低金利政策を維持する一方、FRBなどが利上げを行うとキャリー取引が活発化。

  • 市場の安定局面:為替変動が小さいと、リスクが低下しキャリー取引が行われやすい。

  • 金融政策の非対称性:日銀が緩和継続、他国が利上げ――という構図が続くほど円キャリー取引は増える。


🌪️ 主なリスク

  • 為替変動リスク:円高が進むと、外貨を円に戻す際に損失(為替差損)が発生。

  • 市場変動リスク:ボラティリティ上昇時、投機筋が一斉にポジションを解消 → 円の買い戻し(円高)につながる。

  • 政策転換リスク:日銀が利上げに転じると、キャリー取引の利点が消え、円高方向へ巻き戻しが起きる。


💹 最近の動向(2024~2025年)

  • 停滞傾向:「米・欧・日」のいずれも経済不安を抱え、三すくみ状態で取引が減少。

  • 巻き戻し発生(2024年8月):日銀が利上げを決定し、キャリーポジション解消 → 円急騰。

  • 新たな形のキャリー取引:日本の個人投資家がFXを通じて外貨運用を行う動きが拡大。
     → 為替相場が反転した際、個人の円買い戻しが急速な円高を引き起こすリスクも。


✅ ポイント整理

比較項目 円キャリー取引が進む時 円キャリー取引が巻き戻される時
金利差 海外>日本 金利差縮小・日銀利上げ
為替相場 安定(低ボラティリティ) 変動(高ボラティリティ)
市場心理 リスク選好(株高局面) リスク回避(株安・地政学リスク)
為替影響 円安 円高

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