-
定義:低金利の円を借りて売り、高金利の外貨に換えて運用し、金利差(キャリー)で利益を得る取引。
-
狙い:為替差益ではなく、主に金利差益を目的とする。
-
効果:取引が活発になると円売り・外貨買いが進み、円安圧力が強まる。
⚙️ 仕組み
-
日本で低金利の円を調達(借り入れ)
-
円を売って、ドルや豪ドルなど金利の高い通貨を購入
-
その通貨建ての債券や預金などで運用して金利差を得る
-
為替相場が安定していれば、金利差分が利益として確保できる
📉 背景と発生要因
-
日米金利差の拡大:日本が超低金利政策を維持する一方、FRBなどが利上げを行うとキャリー取引が活発化。
-
市場の安定局面:為替変動が小さいと、リスクが低下しキャリー取引が行われやすい。
-
金融政策の非対称性:日銀が緩和継続、他国が利上げ――という構図が続くほど円キャリー取引は増える。
🌪️ 主なリスク
-
為替変動リスク:円高が進むと、外貨を円に戻す際に損失(為替差損)が発生。
-
市場変動リスク:ボラティリティ上昇時、投機筋が一斉にポジションを解消 → 円の買い戻し(円高)につながる。
-
政策転換リスク:日銀が利上げに転じると、キャリー取引の利点が消え、円高方向へ巻き戻しが起きる。
💹 最近の動向(2024~2025年)
-
停滞傾向:「米・欧・日」のいずれも経済不安を抱え、三すくみ状態で取引が減少。
-
巻き戻し発生(2024年8月):日銀が利上げを決定し、キャリーポジション解消 → 円急騰。
-
新たな形のキャリー取引:日本の個人投資家がFXを通じて外貨運用を行う動きが拡大。
→ 為替相場が反転した際、個人の円買い戻しが急速な円高を引き起こすリスクも。
✅ ポイント整理
| 比較項目 | 円キャリー取引が進む時 | 円キャリー取引が巻き戻される時 |
|---|---|---|
| 金利差 | 海外>日本 | 金利差縮小・日銀利上げ |
| 為替相場 | 安定(低ボラティリティ) | 変動(高ボラティリティ) |
| 市場心理 | リスク選好(株高局面) | リスク回避(株安・地政学リスク) |
| 為替影響 | 円安 | 円高 |
0 件のコメント:
コメントを投稿