2025年7月15日火曜日

サマーラリー

サマーラリーとは?

  • 米国株式市場で見られる季節的な傾向の一つ
  • 7月4日(独立記念日)から9月初旬(レイバーデー)までの期間に、株価が上昇しやすいというアノマリー(経験則)
  • 明確な経済的根拠は乏しいが、「休暇前に株を買う」「市場参加者の構成が変わる」など、投資家の心理や行動(例:休暇前に買いポジションを持ちやすい)による影響とされる

過去の統計(S&P500の場合)

  • 1984~2024年のデータでは、7月の平均上昇率は1.4%(12ヶ月中4位)

  • 大統領選挙の翌年(例:2021年、2025年)は、7月のパフォーマンスが相対的に高くなる傾向がある
    ※ただしこれは年によってばらつきが大きいため、過信は禁物

注意点・リスク

  • 夏枯れ相場:夏は機関投資家や大口が休暇に入るため、取引量が減少し株価変動が荒くなりやすい

  • 不確実要因:政策リスク(例:関税・金利政策)、地政学リスクなどでアノマリーが打ち消されることもある

  • 反対の動きもあり得る:必ずしも毎年株価が上昇するわけではなく、「期待先行→反動安」になる年もある

  • サマーラリーは米国市場中心の現象であり、日本市場など他地域では必ずしも該当しない

  • 投資判断に活用する場合は、企業決算スケジュール金利動向FOMCの予定なども加味すべき

  • 短期的な売買戦略の一要素として活用可能だが、中長期の投資戦略とは切り離して考えるのが適切

2025年7月9日水曜日

ETF(上場投資信託)の分配金捻出売り

ETF分配金捻出売りとは

  • ETFは決算期に分配金を支払う必要がある

  • 分配金の原資を確保するため、保有株式や先物を売却する

  • この売却行為を「分配金捻出売り」と呼ぶ


背景と市場への影響

  • 7月に集中:多くのETFが7月に決算を迎えるため、毎年この時期に売りが増える傾向

  • 需給悪化:大量売却により、一時的に株式市場の需給が悪化し、株価下落の一因となることもある

  • 市場の予測:市場関係者やヘッジファンドは事前に動きを織り込む傾向があり、先回り売りで影響を吸収するケースもある


具体的な事例

  • 2024年7月:2日間で1兆円超の売りが予想されたが、市場への影響は限定的

  • 2025年7月8日5600億円規模の売りが出たが、日経平均への影響は軽微


まとめ

  • ETFの分配金捻出売りは季節要因による一時的な売り圧力

  • しかし市場はこの動きを織り込みやすく、価格への影響は限定的となるケースが多い

 

2025年7月1日火曜日

コモディティ化(commoditization)

 

🔹 コモディティ化とは

  • 商品やサービスが他社製品と同質化し、違いが見えにくくなること

  • 消費者から見ると「どれでも同じ」に見える状態

  • ブランド力や付加価値が低下し、主に価格で選ばれるようになる

🔹 主な原因

  • 技術の普及や模倣の容易化

  • 過度な価格競争や市場の成熟

  • 差別化戦略の限界(顧客のニーズが均一化する場合など)

🔹 影響

  • 利益率の低下(価格競争が激化)

  • ブランド力の弱体化

  • 企業が新たな付加価値や体験の提供を迫られる

🔹 代表的な例

  • 家電製品(テレビ、冷蔵庫など)

  • スマートフォンの中・低価格帯モデル

  • インターネット回線・格安SIMサービス

  • 一般的な食品(牛乳・卵・パンなど)

2025年6月24日火曜日

日銀による株式購入

開始時期

2010年12月、金融緩和政策の一環としてETFの買入れを開始

目的

  • リスクプレミアムの縮小(投資家のリスク回避姿勢を緩和)
  • 資産価格の安定(株価の下支え)
  • デフレ脱却の支援(経済の好循環を促す)

主な影響

1. 株価の下支え・上昇圧力

  • 株価が下落しそうな局面での買入れが、相場の安定要因

  • 市場では「日銀プット」と呼ばれ、安心感につながった

  • 東証株価指数(TOPIX)連動型ETFの比率が高かった

2. 日銀の株主化問題

  • 日銀が主要上場企業の大株主となる事態に

  • 2021年時点で、日経225構成銘柄の過半数で上位10位以内の株主になっていた

  • 「民間企業に対する国の影響力が大きくなりすぎる」との懸念も

3. マーケットのゆがみ

  • 需給主導で株価が動く場面が増え、企業業績と株価の乖離が発生

  • 市場参加者の行動が「日銀頼み」になる構造的リスクも

4. 出口戦略の難しさ

  • 買入れ残高は累計約50兆円超(2024年時点)

  • 将来的に売却するとなると、市場に対する影響が大きく、慎重な対応が必要

  • 日銀の財務リスク(含み損の拡大)も指摘されている


最近の動向

  • 2021年3月以降:買入対象をTOPIX連動型ETFに絞り、日経225型ETFの購入を終了

  • 2023年以降:実際の買入れ回数は減少傾向にあり、出口政策への布石とも見られる

  • 日銀保有ETFの再投資原則は継続中(償還に伴う再購入)


評価と課題

ポジティブな側面 ネガティブな側面
株価下支え、経済の安定化      市場のゆがみ・民間支配の懸念
リスクプレミアムの縮小 出口戦略が極めて難しい
投資家心理の改善 公的資金による価格形成の歪み

2025年6月19日木曜日

累進配当

 企業が将来的に安定的かつ段階的に配当金を引き上げていく方針を示す制度または考え方。主に米国企業で導入され、日本でも注目されつつある。

累進配当の概要

  • 定義:減配せず、配当を維持または増加させ続けることを目標とした配当政策

  • 目的:長期投資家に安定感と成長期待を与える

  • 企業姿勢:利益の短期的な増減に左右されず、中長期的な株主還元を重視する姿勢を示す

累進配当導入の背景

  • 株価下落リスクの抑制: 業績連動の配当方針では、減益時に減配リスクが高まるが、累進配当の採用により株価下落などのリスクを抑えることが期待される
  • 投資家繋ぎ止め: 新型コロナウイルス感染症後の利益の急回復が今後は減速するとの警戒感から、積極的な株主還元で投資家を繋ぎ留めようとする狙いがある
  • PBR(株価純資産倍率)改善: PBR改善の手段として累進配当を選ぶ企業が増えている

累進配当の特徴

項目 説明
減配の回避  一時的な業績悪化でも配当を維持する方針
増配の継続      利益が増えれば積極的に配当を増やす
長期志向の経営     安定した配当政策が株主との信頼関係を築く
投資家の支持  配当目的の長期保有投資家に人気
利益との乖離リスク無理に配当を維持しようとすると財務負担が増える恐れもある

累進配当と他の配当政策の比較

配当政策 内容 企業の姿勢
配当性向重視型  利益の◯%を配当にする 利益次第で配当額が変動
安定配当型 毎年◯円など一定額を維持   安定感重視
累進配当型 減配せず、段階的に増やす 長期的な株主還元を重視


投資家の視点からのメリット

  • 将来的なインカムゲインの成長が見込める

  • 株主重視の姿勢が明確な企業と判断できる

  • 株価が配当利回りに支えられ、下値が堅くなりやすい



2025年6月5日木曜日

バーゼル3

 

◆ バーゼル3の概要

  • 2008年のリーマン・ショックを教訓に策定された国際的銀行規制

  • 策定主体:バーゼル銀行監督委員会(BIS傘下)

  • 目的:金融システムの安定化と、銀行のリスク耐性強化

◆ 主な規制内容

  • 自己資本の強化

    • CET1比率(普通株式等Tier1資本比率)を4.5%以上に

    • 総自己資本比率は8%以上、さらにバッファ資本(保全・カウンターシクリカル)を加える

  • リスク管理の高度化

    • ストレステストや内部モデルの精緻化

    • 市場・信用・オペレーショナルリスクの統合的評価

  • 新たな規制項目

    • レバレッジ比率の導入(自己資本 ÷ 総資産 ≧ 3%)

    • 流動性比率の導入

      • LCR:30日間の資金流出に耐えるための高品質資産保持

      • NSFR:1年超の安定資金調達の確保


◆ 各国の導入状況(2024〜2027)

  • 日本:2024年〜2025年にかけて全預金取扱機関に適用完了

  • アメリカ:2025年7月予定 → 銀行界の反発で見直し中

  • EU:2025年1月から導入決定、市場リスクは2026年に延期

  • イギリス:2027年1月に延期、米国の動向を注視


◆ 邦銀への影響

  • メガバンクはすでに高度な自己資本管理を実施

  • 地銀や信金は標準手法ベースでの対応、影響は限定的

  • 日本の先行導入により、規制順守の信頼性向上とともに、国際競争条件の不均衡懸念も指摘される

2025年5月29日木曜日

イールドスプレッドとは

 

  • 株式の益回り(E/P)から長期金利(代表的には10年国債利回り)を引いた値

  • 株式と債券の「投資妙味」の差を数値化したもの

◆ 計算式

イールドスプレッド = 株式の益回り(1株利益 ÷ 株価)- 長期金利(例:10年物国債利回り)

解釈の基本

  • イールドスプレッドが大きい(プラスが大きい)

    • 株式の方がリターンが大きい=株が割安

    • リスクを取ってでも株を買う価値がある水準

  • イールドスプレッドが小さい or マイナス

    • 債券のほうが相対的に有利=株が割高

    • 株に投資するリターンが少なく、リスクに見合わないとされる


◆ 実例・過去の動向

  • 1990年代末のITバブル期:株価高騰で益回りが低下 → スプレッド縮小(割高感)

  • 2008〜09年の金融危機後:株価急落&金利低下 → スプレッド拡大(割安感)

  • 2024年6月〜2025年3月:S&P500で益回り低下+金利上昇 → スプレッドが過去最低水準に接近(=割高の警戒感)


◆ 活用のポイントと注意点

  • 市場の割高・割安を相対的に評価できる便利な指標

  • ただし「金利・株価・業績見通し」すべての影響を受けるため、単独での判断は危険

  • 他の指標(PER、PBR、企業業績、景気循環)と組み合わせて総合的に分析することが大切

サマーラリー

サマーラリーとは? 米国株式市場で見られる季節的な傾向 の一つ 7月4日(独立記念日)から9月初旬(レイバーデー)まで の期間に、株価が上昇しやすいという アノマリー(経験則) 明確な経済的根拠は乏しいが、「 休暇前に株を買う 」「市場参加者の構成が変わる」など、投資家の心理や...