相互関税とは
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相互関税(Reciprocal Tariff)とは、相手国が自国製品に課している関税と同等の関税を相手国製品に課すという政策手法
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トランプ元米大統領が主張した考え方で、「公平な貿易」を実現するという名目で提唱された
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世界貿易機関(WTO)などが掲げる自由貿易の原則(最恵国待遇・無差別原則)とは対立する側面がある
相互関税の仕組み
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① 調査フェーズ:相手国が自国製品に対して課している関税率・消費税・非関税障壁を調査
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② 関税適用:相手国からの輸入品に対して、同等またはそれ以上の関税率を適用
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③ 消費税も対象とする見解:相手国の消費税(例:EUの付加価値税など)も、実質的な輸入障壁とみなす考え方
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④ 非関税障壁の評価:安全基準、環境基準、規格の違いなども、輸出妨害と判断される可能性
想定される影響
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国際貿易の萎縮:貿易相手国も報復関税を課すことで、貿易戦争に発展するリスク
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企業のコスト増加:関税コストが上昇し、輸出競争力が低下
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消費者への悪影響:輸入製品の価格上昇により、物価が上がる可能性
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通商交渉の激化:相互関税への対抗として、各国は2国間交渉やFTA強化に動くこともある
補足事項
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WTOルールと整合しにくい:相互関税のような一国的な対抗措置は、WTO協定違反の懸念がある
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関税の引き上げは消費者に転嫁されやすい:国内市場でもコストプッシュ型インフレの一因となる
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実現には法的・実務的なハードルが多い:すべての国の関税・税制・規制を逐一比較するのは極めて困難
総括
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相互関税は「対等な貿易関係」を掲げる一方で、貿易摩擦の激化や経済停滞につながるリスクが高い
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短期的な圧力にはなり得るが、長期的には国際秩序や企業活動に混乱をもたらす可能性がある
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グローバル経済においては、関税以外の協調的ルール形成がより現実的とされている
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