2025年7月29日火曜日

金融行政方針


金融行政方針とは

  • 金融庁が毎年策定する文書で、その年度の金融行政の課題や重点政策を示すもの

  • 事務年度(毎年7月~翌年6月)の始まりに公表され、行政の透明性向上と説明責任の遂行を目的とする

  • 金融庁自ら、「形式化」や「マンネリ化」を問題視し、近年は双方向性や実効性のある行政方針のあり方を模索している


主な役割

  • ① 金融行政の方向性提示
     → 行政としての課題認識と取り組みの基本姿勢を明示

  • ② 金融機関の監督・検査方針の明文化
     → 預金取扱金融機関・保険会社・証券会社などのリスク管理体制や経営健全性の評価基準を示す

  • ③ 金融業界・国民への情報提供
     → 方針や視点を広く共有し、対話型監督への転換を促進


具体的な重点施策(例:2023~2024年度)

  • 企業統治改革

    • 政策保有株の見直し企業価値向上に向けた投資家対話(エンゲージメント)支援

    • スチュワードシップ・コードコーポレートガバナンス・コードの運用強化

  • 金融機関のリスク管理

    • 金利・為替変動、地政学リスクへの耐性チェック

    • 金融グループによる高度化したリスク管理体制の整備を促す

  • 地域金融機関の持続可能性確保

    • 人口減少・高齢化を背景とした事業モデルの再構築支援

    • 地域企業との協働・金融仲介機能の発揮を促進

  • 金融デジタル化・イノベーション

    • Web3、フィンテック、暗号資産、ESG金融への対応

    • 金融分野におけるサイバーセキュリティ強化レグテック(規制技術)導入支援


その他の特徴

  • 金融行政方針には近年、「サステナブルファイナンス」や「気候関連財務情報開示(TCFD)」などの国際的テーマも盛り込まれている

  • 公表後には、「モニタリングレポート」や「進捗報告」が出され、実効性の確認が行われている

  • 行政による押し付けではなく、対話・共創を軸にした行政運営へ移行しつつある(例:「共通の価値創造ストーリー」策定支援)


今後の展望

  • 行政手法の再設計(単なる監督から“対話と伴走型支援”へ)

  • 金融制度改革の国際整合性確保と日本独自の課題(少子高齢化・地方経済)への対応の両立

  • 金融の社会的価値(社会課題解決への貢献)の視点が今後さらに重視される見通し

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