2025年12月15日月曜日

タームプレミアム

タームプレミアムとは

  • タームプレミアム(期間プレミアム)とは、長期国債を保有することに伴う不確実性への補償として、投資家が求める上乗せ金利のこと。
  • 国債利回りは大きく次の2要素で構成される。
    • 将来の短期金利の予想平均
    • タームプレミアム(=上乗せ分)

タームプレミアムが生じる理由

  • 将来の金利変動リスク
    • 長期債ほど、将来のインフレ・金融政策変更の影響を受けやすい。
  • インフレ不確実性
    • 物価上昇が想定より高まると、実質利回りが低下するリスクがある。
  • 財政リスク
    • 財政悪化や国債増発により、需給悪化・信認低下が起こる可能性。
  • 流動性リスク
    • 長期債は短期債に比べ売却しにくく、価格変動が大きくなりやすい。

タームプレミアムに影響を与える主な要因

  • 国債需給
    • 国債増発見通し → タームプレミアム上昇
    • 安全資産需要の高まり → タームプレミアム低下
  • 金融政策
    • 量的緩和(QE)や国債買い入れ → タームプレミアムを押し下げる
    • 量的引き締め(QT)・引き締め観測 → タームプレミアム上昇要因
  • 財政政策
    • 大型減税・歳出拡大による財政不安 → 上昇しやすい
  • 海外投資家の動向
    • 日本国債・米国債の保有比率が高い国では、海外勢の動きが影響しやすい。
  • 市場のリスク認識
    • 政治不安・制度不信・中央銀行の信認低下 → 上昇要因

タームプレミアムの読み取り方・活用

  • 市場の警戒度を示す指標
    • 上昇:将来への不安・財政や政策への不信感
    • 低下:安定・金融当局への信認が高い状態
  • 長期金利上昇の「質」を判断
    • 短期金利見通し主導か
    • タームプレミアム拡大主導か
      → 意味合いが大きく異なる
  • 金融政策当局の重要な観測対象
    • 中央銀行は「タームプレミアムの急騰」を市場混乱の兆候として警戒する。

実際に起きた主な事例

  • 英国「トラス・ショック」(2022年)
    • 財源不明の大型減税案 → 財政不信
    • 英国債売り・長期金利急騰
    • タームプレミアムが急上昇
  • 米国(トランプ政権期)
    • 財政赤字拡大・国債増発観測
    • 長期金利上昇の一因としてタームプレミアム拡大が指摘
  • 日本関連の議論
    • 大規模減税・給付政策(高市政権が提唱するガソリン減税や給付付き税額控除など)が財源不透明な形で実施された場合、30年債利回りを押し上げ、タームプレミアムが上昇するとの試算がある

注意点

  • タームプレミアムは直接観測できない
    • ニューヨーク連銀などがモデル推計値として算出。
  • 必ずしも「上昇=悪」ではない
    • 極端に低すぎる状態は、金融抑圧や市場機能低下を示す場合もある。
  • 中央銀行の信認が最大の抑制要因
    • 財政が悪化しても、金融政策の信頼性が高ければタームプレミアムは抑えられる。

まとめ

  • タームプレミアムとは「長期でお金を貸すことへの不安に対する保険料」
  • 長期金利上昇の背景を読むうえで不可欠な概念。
  • 財政・金融政策・市場心理が交差する、極めて重要な市場シグナル

0 件のコメント:

コメントを投稿

名目金利と実質金利

名目金利 とは、表面上表示される金利のこと 実質金利 とは、名目金利からインフレ率(または期待インフレ率)を差し引いた金利のこと 金利の「見かけ」と「実際の価値」を区別するための基本概念 名目金利とは 預金金利、住宅ローン金利、国債利回りなどとして表示される金...