タームプレミアムとは
- タームプレミアム(期間プレミアム)とは、長期国債を保有することに伴う不確実性への補償として、投資家が求める上乗せ金利のこと。
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国債利回りは大きく次の2要素で構成される。
- 将来の短期金利の予想平均
- タームプレミアム(=上乗せ分)
タームプレミアムが生じる理由
- 将来の金利変動リスク
- 長期債ほど、将来のインフレ・金融政策変更の影響を受けやすい。
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インフレ不確実性
- 物価上昇が想定より高まると、実質利回りが低下するリスクがある。
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財政リスク
- 財政悪化や国債増発により、需給悪化・信認低下が起こる可能性。
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流動性リスク
- 長期債は短期債に比べ売却しにくく、価格変動が大きくなりやすい。
タームプレミアムに影響を与える主な要因
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国債需給
- 国債増発見通し → タームプレミアム上昇
- 安全資産需要の高まり → タームプレミアム低下
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金融政策
- 量的緩和(QE)や国債買い入れ → タームプレミアムを押し下げる
- 量的引き締め(QT)・引き締め観測 → タームプレミアム上昇要因
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財政政策
- 大型減税・歳出拡大による財政不安 → 上昇しやすい
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海外投資家の動向
- 日本国債・米国債の保有比率が高い国では、海外勢の動きが影響しやすい。
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市場のリスク認識
- 政治不安・制度不信・中央銀行の信認低下 → 上昇要因
タームプレミアムの読み取り方・活用
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市場の警戒度を示す指標
- 上昇:将来への不安・財政や政策への不信感
- 低下:安定・金融当局への信認が高い状態
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長期金利上昇の「質」を判断
- 短期金利見通し主導か
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タームプレミアム拡大主導か
→ 意味合いが大きく異なる
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金融政策当局の重要な観測対象
- 中央銀行は「タームプレミアムの急騰」を市場混乱の兆候として警戒する。
実際に起きた主な事例
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英国「トラス・ショック」(2022年)
- 財源不明の大型減税案 → 財政不信
- 英国債売り・長期金利急騰
- タームプレミアムが急上昇
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米国(トランプ政権期)
- 財政赤字拡大・国債増発観測
- 長期金利上昇の一因としてタームプレミアム拡大が指摘
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日本関連の議論
- 大規模減税・給付政策(高市政権が提唱するガソリン減税や給付付き税額控除など)が財源不透明な形で実施された場合、30年債利回りを押し上げ、タームプレミアムが上昇するとの試算がある
注意点
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タームプレミアムは直接観測できない
- ニューヨーク連銀などがモデル推計値として算出。
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必ずしも「上昇=悪」ではない
- 極端に低すぎる状態は、金融抑圧や市場機能低下を示す場合もある。
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中央銀行の信認が最大の抑制要因
- 財政が悪化しても、金融政策の信頼性が高ければタームプレミアムは抑えられる。
まとめ
- タームプレミアムとは「長期でお金を貸すことへの不安に対する保険料」
- 長期金利上昇の背景を読むうえで不可欠な概念。
- 財政・金融政策・市場心理が交差する、極めて重要な市場シグナル。
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