中立金利(ニュートラル金利)とは
- 中立金利とは、景気を刺激も抑制もしないと考えられる金利水準を指す
- 中央銀行が政策金利を判断する際の理論的な基準点として用いられる
-
政策金利が
- 中立金利を上回る場合:金融引き締め的
-
中立金利を下回る場合:金融緩和的
と評価される
- 中立金利は名目金利ベースで語られる場合と、実質金利(r*)ベースで語られる場合があり、文脈に注意が必要
中立金利の推計方法と注意点
- 中立金利は市場で観測できない仮想的な概念であり、直接測定することはできない
-
一般的な考え方は以下の通り
- 中立金利(名目)=自然利子率(実質)+期待インフレ率
-
自然利子率(r*)は
- 潜在成長率
- 労働人口動態
- 技術進歩
-
貯蓄・投資バランス
などに影響される
- 潜在成長率や自然利子率の推計には複数のモデルが存在し、専門家の間でも見解が分かれる
-
中立金利は固定的な水準ではなく、時代や構造変化によって変動する
- 少子高齢化や生産性低下は中立金利を押し下げやすい
- インフレ体質の変化や財政拡張は押し上げ要因となりうる
ターミナルレートとは
- ターミナルレートとは、利上げ(または利下げ)局面における政策金利の最終到達点を指す
-
あくまで
- 金融政策サイクル上の「到達点」
- 理論的な均衡水準である中立金利とは概念が異なる
-
ターミナルレートは
- インフレ抑制
-
景気過熱・減速への対応
などを目的に、中立金利を上回る水準に設定される場合もある
ターミナルレートの市場での見方
- ターミナルレートは、市場参加者の金融政策見通しを反映する概念である
-
金融市場では
- OIS(翌日物金利スワップ)
-
フォワード金利
などを用いて、将来の政策金利水準が推測される
-
特定の「○年先・○年物フォワード金利」は
- ターミナルレートを直接示す公式指標ではない
- 市場が「最終的にどの水準を想定しているか」を推し量る参考指標として使われる
中立金利とターミナルレートの関係整理
-
中立金利
- 中長期的な理論上の均衡点
- 景気に対して中立的
- 構造要因によってゆっくり変化する
-
ターミナルレート
- 金融政策サイクルにおける実務的な到達点
- インフレ抑制などの目的で中立金利を上回る場合がある
- 市場環境や政策判断により変動しやすい
-
両者は
- 「同じ水準になるとは限らない」
-
「短期と中長期の視点の違い」
という点で明確に区別される
日本の金融政策
- 日本では長年の低成長・低インフレ環境により中立金利が非常に低い水準にあるとの見方が強い
- ターミナルレートも海外に比べて低水準にとどまるとの見方が多い
- 賃金動向、インフレ定着の有無、財政運営によって、中立金利・ターミナルレートの見方は変化しうる
まとめ
- 中立金利は金融政策の「基準点」となる理論的概念
- ターミナルレートは金融政策サイクルの「終点」を示す市場的概念
- 両者は密接に関連するが、同一ではない
-
金融政策を読む際は以下の両面を見ることが重要
- 「今の政策金利が中立からどれだけ乖離しているか」
- 「市場はどこまで政策金利が動くと見ているか」
0 件のコメント:
コメントを投稿