PBR(株価純資産倍率)
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計算式:株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
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意味:企業の株価が、その純資産(解散価値)に対して高いか低いかを示す。
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特徴:
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PBR<1倍:企業が「資産価値以下」で評価されている可能性 → 割安とみなされることも。
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ただし、資産の質(含み損の有無)やビジネスモデルによって「低PBR=割安」とは限らない。
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東証は上場企業に対し、「資本コストや株価を意識した経営」を求め、PBR1倍割れの改善を促している。
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純資産に対して株価が低い場合でも、将来の収益が見込めない企業ではPBRの信頼性が下がるため、ROEとの併用が重要。
PER(株価収益率)
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計算式:株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)
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意味:投資家が、企業の利益の何年分を支払って株を購入しているかを示す。
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特徴:
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一般にPERが低ければ割安とされるが、企業の成長性や景気循環業種では異なる解釈も必要。
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高PER=成長期待が織り込まれている/低PER=業績悪化の織り込みかも。
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日本株の平均PERは14〜16倍程度が一つの目安(業種によって異なる)。
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PERは**将来利益の予想値(予想PER)**で評価されることが多く、会計方針や特別損益によって実績PERはブレやすい。
ROE(自己資本利益率)
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計算式:当期純利益 ÷ 自己資本
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意味:株主からの出資(自己資本)を使ってどれだけ効率的に利益を出したかを示す。
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特徴:
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10%以上:高収益企業とされることが多い。
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東証は、企業に対してROE8%以上を目安に改善を促す動き。
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- ROEは 「利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ」 に分解できる(デュポン・システム)。
- 財務レバレッジ(=負債比率)を高めてROEを押し上げることも可能だが、財務リスク増加に注意が必要。
ROA(総資産利益率)
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計算式:当期純利益 ÷ 総資産
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意味:企業が保有するすべての資産(自己資本+負債)を使ってどれだけ利益を上げているか。
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特徴:
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財務構造に依存せず、経営効率の総合的な評価に適している。
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一般にROAが5%以上なら効率的とされるが、業種ごとの差が大きい。
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ROAはROEよりも保守的な収益性指標であり、資産の重い業種(電力、不動産など)では低く出がち。
PSR(株価売上高倍率)
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計算式:株価 ÷ 1株あたり売上高(または 時価総額 ÷ 売上高)
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意味:1円の売上に対して、何倍の評価が株式市場でされているか。
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特徴:
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利益が出ていない赤字企業でも評価可能な指標。
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特に、成長企業・スタートアップ・SaaSビジネスなどでよく用いられる。
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一般的にPSRが5倍以上で高めとされるが、業種と成長期待によって適正水準は異なる。
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売上が急成長していても収益性が伴わない場合は評価が急落することもあり、注意が必要。
各指標の関連性
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PBR = ROE × PER
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株価は「企業の資産の活用効率(ROE)」と「利益への期待度(PER)」によって説明できる。
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逆に言えば、ROEを高める or PERを高める戦略でPBRは改善可能。
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PBR改善のためには、配当性向の引き上げ、利益率改善、自社株買いなどの株主還元策が効果的とされる。
総合的な活用のポイント
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いずれの指標も単独で判断するのではなく、複数の指標を組み合わせて分析することが重要。
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業種特性、経済状況、企業のライフステージに応じて、見るべき指標の重みづけを変える。
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成長性(PER・PSR)+効率性(ROE・ROA)+資産価値(PBR)のバランスを見ることが企業分析の基本となる。
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